「もっと自己肯定感を高めなければ」と思いながら、どうすればいいかわからずにいる方は多いと思います。自己肯定感という言葉は広まりましたが、「ポジティブに考えよう」「自分を好きになろう」という表面的な話で終わることも多い。
この記事では、自己肯定感の本当の意味と、地に足のついたアプローチをお伝えします。
目次
「自己肯定感が高い」とは何か
自己肯定感とは、「自分がすごい」と思えることではありません。「うまくいってもいかなくても、自分は存在していていい」という、無条件の安心感のことです。
カウンセリングで多くの方と話して感じることは、「成果を出せばOK、出せなければダメ」という条件付きの自己評価で生きてきた方が多いということです。それは自己肯定感が高い状態ではなく、自己効力感(やればできる感覚)に依存している状態です。なお、自己効力感はアルバート・バンデューラ博士(Albert Bandura・スタンフォード大学)が1977年に提唱した概念です。
なぜ自己肯定感が低くなるのか
自己肯定感は幼少期の養育環境や体験に強く影響されます。「失敗すると叱られた」「条件を満たさないと認めてもらえなかった」という経験が積み重なると、「ありのままの自分はダメだ」という信念が形成されやすくなります。
これは意志の弱さや性格の問題ではありません。そういう環境で生きてきた結果として、そう感じるようになっているのです。
現実的なアプローチ3つ
1. 「自分を好きになろう」より「自分を知ろう」
急に自分を好きになるのは難しい。まず「自分はこういう傾向がある」と客観的に知ることが先です。自分の反応パターンや価値観を観察することが、自己理解の出発点になります。
2. 「失敗した自分」を責めるのをやめる練習
失敗したとき、自分をどう扱っているかに注目してみてください。「なんでこんなこともできないんだ」と言うのではなく、友人が失敗したとき声をかけるような言葉を自分にかけてみる。これをセルフコンパッションといいます。クリスティン・ネフ博士(Kristin Neff, Ph.D.・テキサス大学オースティン校)が提唱したこの概念は、自分自身に友人と同じような思いやりを向ける練習です。自己批判の軽減と自己肯定感の向上への効果が、複数の研究で示されています。
3. 「できた」に気づく習慣
一日の終わりに「今日できたこと」を3つ書く。大きな成果でなくていい。「ゴミを捨てた」「返事を返した」それで十分です。
まとめ
自己肯定感は、頑張って手に入れるものではありません。じわじわと積み重ねていくものです。「ありのままでいい」と感じられる瞬間を、少しずつ増やしていくことから始めてみてください。
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■ 参考文献・参考資料
● Neff, K.D. (2003). Self-Compassion: An Alternative Conceptualization of a Healthy Attitude Toward Oneself. Self and Identity, 2(2), 85–101.
● Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191–215.