「なんか最近、調子が悪い気がする」。そう感じたとき、あなたの体と心には何が起きているのでしょうか。ストレスと一口に言っても、その反応は思っているより多岐にわたります。この記事では、臨床の現場でよく見られる3つのストレス反応を、できるだけわかりやすく整理してみます。
■ストレス反応って、そもそも何?
ストレス反応とは、外からの負荷(ストレッサー)に対して、心や体が「なんとかしよう」と動き出すときの変化のことです。この「ストレッサー→反応」の枠組みはハンス・セリエ博士(Hans Selye)が1936年に提唱した「汎適応症候群(General Adaptation Syndrome)」に起源を持ちます。また本記事で扱う「バーンアウト(燃え尽き)」は、ハーバート・フロイデンバーガー(Herbert Freudenberger、1974年)が命名し、クリスティナ・マスラック(Christina Maslach)が尺度化を進めた概念です。
カウンセリングでよく聞くのは、「ストレスがあるのはわかっているけど、自分にどんな影響が出ているかはよく見えていない」という話です。でも実は、反応のサインは体や行動にきちんと出ています。ただ、忙しいと気づきにくいのです。
■反応1:身体的な反応——体が先に教えてくれている
ストレスを感じると、まず体が反応します。自律神経が乱れ、睡眠が浅くなる、肩がこる、食欲が変わる、頭が重いといった変化が現れます。
「仕事が忙しくなると必ず胃が痛くなる」という方は多いですが、これも立派なストレス反応です。体が「そろそろ限界が近いよ」と教えてくれているサインだと思ってください。
問題は、こうした体のサインを「気のせい」として流してしまうことです。実際のセッションでも、「病院に行ったら異常なしと言われた。でもしんどい」という方が少なくありません。検査に出ないからといって、問題がないわけではないのです。
■反応2:感情・心理的な反応——気分が揺れる、気力が落ちる
次に現れやすいのが、感情や気分の変化です。イライラしやすくなる、気分が沈む、不安が続く、何をしていても楽しめない、といった状態です。
「怒りっぽくなった気がする」「以前は好きだった趣味が面倒に感じる」という声は、燃え尽き(バーンアウト)の初期サインとして非常によく見られます。
感情の変化は、「自分の性格が悪くなった」わけではありません。それは、心が負荷を処理しきれなくなっているというシグナルです。でも、責めてしまう方は多い。「こんなことでメソメソしている自分が情けない」と。
そうじゃないですよ、というのが、私が伝えたいことのひとつです。
■反応3:行動上の変化——知らないうちにやり方が変わっている
3つ目は行動の変化です。遅刻や欠勤が増える、仕事のミスが増える、人と会うのが億劫になる、アルコールや食事の量が変わる、といったパターンです。
これは本人が気づきにくい反応でもあります。「なんとなく最近やる気がない」「集中できていない気がする」という感覚が、気づけば職場での評価に影響していた、ということも。
行動の変化は、周りの人間が先に気づくこともあります。管理職の方から「部下が最近ぼんやりしている気がする」という相談をよく受けますが、それはストレス反応のサインとして見ておく価値があります。
■3つの反応に気づいたら、次の一手
これら3つの反応は、互いに絡み合っています。体がしんどいから気分が落ちる、気分が落ちるから行動が変わる、行動が変わるとさらに体に負担がかかる——という悪循環です。
大切なのは、「おかしいな」と感じたときに、どれに当てはまるかを少し立ち止まって確認してみること。反応の種類を知っておくだけで、「自分が今どこにいるのか」が少し見えやすくなります。
一気に全部なんとかしようとしなくていいです。まず一つだけ、自分の状態に名前をつけてみてください。
■まとめ
ストレス反応には「体・心・行動」の3つの側面があります。どれか一つに強く出ることも、3つ同時に出ることもあります。大切なのは、変化に気づくこと。気づくことが、回復への最初の一歩です。
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■ 参考文献・参考資料
● Selye, H. (1936). A syndrome produced by diverse nocuous agents. Nature, 138, 32.
● Freudenberger, H.J. (1974). Staff burn-out. Journal of Social Issues, 30(1), 159–165.
● Maslach, C., & Jackson, S.E. (1981). The measurement of experienced burnout. Journal of Organizational Behavior, 2(2), 99–113.