「最近ちょっと元気がないな」——そう感じても、忙しさの中で「気のせいかも」と流してしまうこと、ありませんか。管理職の方から「もっと早く気づいてあげられたら」という言葉を、これまで何度も聞いてきました。この記事では、部下のメンタル不調の初期サインと、早期対応のためにできることをお伝えします。管理職の立場は、部下と経営の板挟みで自分自身も余裕がなくなりやすいものです。だからこそ、気づくためのちょっとしたコツを知っておくだけで、随分と対応が変わってきます。
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そのモヤモヤ、実は結構当たっている
「なんとなく気になる」という感覚、実は結構的を射ていることが多いんです。遅刻が増えた、報告が減った、ミスが目立つ、笑わなくなった——ひとつひとつは小さくても、いくつか重なると要注意のサインです。
他にも、こんな変化が見られたら少し気にかけてみてください。
●会議での発言が急に減った、あるいは逆にまとまりのない発言が増えた
●身だしなみや机まわりが以前より整わなくなった
●ランチや雑談の輪から静かに離れていくようになった
●以前は頼ってきた相談が来なくなり、抱え込んでいる様子がある
でも、忙しい毎日の中では「様子を見よう」となりがちですよね。それ自体は悪いことではありません。ただ、様子を見ている間に、本人はひとりで抱え込んでいることが多いんです。私が現場で感じるのは、周囲が気づいた時点で、本人はすでにかなり我慢を重ねているケースが多いということです。「もっと早く声をかけていれば」と振り返る管理職の方を、これまで何人も見てきました。
なぜ変化に気づきにくいのか
理由のひとつは、不調のサインが「わかりやすい落ち込み」として出ないことです。実際のセッションでよく聞くのですが、不調の初期は「イライラが増える」「やたら仕事を詰め込む」など、一見元気に見える形で出ることも珍しくありません。
これは、心と体が「もう限界かもしれない」というサインを、本人も無意識に隠そうとする働きが関係しています(防衛機制と呼ばれる、心を守るための自然な反応です)。だからこそ、本人の自己申告を待つだけでは遅れてしまうことがあるんですよね。
もうひとつは、管理職自身が「気づいても、どう声をかければいいかわからない」と感じ、踏み込むのをためらってしまうことです。これも当然の反応だと思います。プライベートに踏み込みすぎるのも心配ですし、逆効果になったらどうしようという不安もあるでしょう。
さらに言うと、忙しい管理職ほど「自分の目線」でしか部下を見られなくなることがあります。数字や納期に意識が向きすぎて、表情や声のトーンといった小さな変化まで拾う余裕がなくなってしまうんですね。これは能力の問題ではなく、単純に余白がないだけのことがほとんどです。
もうひとつ知っておいていただきたいのが、ストレス反応には段階があるということです。最初は「頑張って乗り切ろう」とする抵抗期があり、そこで踏ん張り続けると、やがてエネルギーが枯渇する疲弊期に入ります(汎適応症候群と呼ばれる、ストレスに対する体の反応段階です)。多くの場合、周囲が異変に気づくのは、すでに疲弊期に入ってからです。だからこそ、抵抗期のうちの小さなサインを拾えるかどうかが、その後の回復スピードを大きく左右するのではないかと感じています。
気づいた後、どう関わるか
サインに気づいたとして、次に悩むのが「どう関わるか」です。ここで大切なのは、原因を突き止めようとしすぎないことだと思います。「なぜそうなったのか」を追及されると、本人はかえって防衛的になり、話しにくくなってしまうことがあります。まずは「変化に気づいている」ということだけを、シンプルに伝える。それだけで十分なことも多いんです。
具体的にできること
●遅刻・欠勤・提出物の遅れなど「行動の変化」を記録しておく
感覚だけでなく、事実として変化を積み重ねて見ることで、判断がぶれにくくなります。
●「最近どう?」ではなく「最近〇〇の件、大変そうに見えたけど」と具体的に聞く
抽象的な問いかけより、具体的な事実を添えたほうが本人も話しやすくなります。
●アドバイスより先に、状況を聞くことを意識する
「こうすればいい」より先に「今どんな状態か」を聞くだけで、本人の負担がかなり違います。
●一度の会話で解決しようとしない
小さな声かけを重ねていくくらいの気持ちで十分です。
●自分だけで抱え込まず、産業医や人事、外部のカウンセリングにつなぐ選択肢を持っておく
管理職がすべてを背負う必要はありません。つなぐことも立派な対応です。
●声をかけるタイミングは「気になった時」がベスト
「もう少し様子を見てから」と先延ばしにすると、結局タイミングを逃してしまうことが多いです。少し早いかなと思うくらいがちょうどいいと感じています。
以前、ある管理職の方から「部下に声をかけたら、実は何日も眠れていなかったと分かった」という話を伺ったことがあります(守秘義務の範囲でお伝えしています)。その方は「もっと早く聞けばよかった」とおっしゃっていましたが、私は「気づいて、声をかけられたこと自体がすでに十分な対応です」とお伝えしました。完璧なタイミングを待つ必要はないんですよね。
まとめ
完璧に見抜こうとしなくて大丈夫です。まずは小さな変化に気づき、ひとこと声をかけてみることから始めてみませんか。
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