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ストレスチェックの集団分析、
“取っただけ”で終わっていませんか
毎年、集団分析の結果は届く。でもそれを見て何かが変わったかというと、正直あまり変わっていない——そんな声をよく聞きます。数字の読み方さえ分かれば、集団分析は職場改善のかなり強い材料になります。読み解き方と、改善への活かし方を整理します。
判定図の見方——2つの軸で見る
集団分析の中心にあるのが「仕事のストレス判定図」です。2種類の判定図をセットで見る設計になっています。
ひとつは「量-コントロール判定図」。横軸が仕事の量的負担、縦軸が仕事のコントロール(裁量の大きさ)で、右下に位置するほどリスクが高い部署ということになります。もうひとつは「職場の支援判定図」。上司の支援と同僚の支援を軸にし、左下ほどリスク領域です。
ここで大事なのは、負担の大きさだけを見ないことです。負担が大きくても、裁量や周囲の支援があれば話は変わります。「総合健康リスク」は、この2つの判定図の値を掛け合わせて100で割った指標で、全国平均を100とした基準になっています。120を超えると健康問題が約20%多く発生する可能性がある水準、150を超えると優先対応が必要な水準です。
少人数部署の落とし穴
集団分析は原則10人以上の集団を単位に行います。10人未満の部署をそのまま開示すると、誰の回答か推測できてしまうためです。この場合は、業務内容や勤務形態が似ているグループ同士で合算し、単位を大きくして扱います。
もうひとつ見落とされがちなのが、結果を管理職に共有するときの伝え方です。「この結果は統計的な傾向で、個人を特定できるものではない」と事前に明確に伝えておかないと、犯人探しのような空気になり、かえってハラスメントの温床になりかねません。フィードバックの場を設計する段階で、この一言をどう入れるかまで決めておく必要があります。
改善につなげる4つのステップ
数字を見て終わらせず、次の行動まで設計します
影響度×実行しやすさで優先順位をつける
結果に出た課題すべてに手をつけようとすると、どれも中途半端になります。影響が大きく、かつ実行しやすいものから着手します。
行動指標と結果指標を分ける
1on1の実施率や業務配分の見直し完了率といった行動の指標と、総合健康リスクの値のような結果の指標を分けて追います。結果だけを見ていると、途中で息切れします。
経営層への報告は3行に絞る
何が課題で、何を、どの順で進めるか。この3点以外を削ぎ落とすと、意思決定が通りやすくなります。詳細なデータは別添で十分です。
翌年の数値で検証する
やりっぱなしにせず、次のストレスチェックの結果で数値の変化を確認します。ここまでやって初めて、集団分析が「活用された」と言えます。
申出を待つだけでは、個人の対応に限界がある
集団分析を職場改善につなげる取り組みは、個人の申出に依存しない対策という意味でも重要です。高ストレス者本人が面接指導を申し出るのを待つだけでは、申出率が5%未満の事業場が76.8%を占めるという現状がある以上、支援が届く人はごく一部にとどまります。個人への対応と組織への対応は、両輪で進める必要があります。
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監修:宮碕 景悟(公認心理師・臨床心理士)/プロフィール
出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書に関する通達
