EAPは「導入実績」や「知名度」だけで選んでいませんか|外部委託の比較基準

人事・産業保健ご担当者様へ

目次

「導入実績◯◯社」「業界最大手」——それだけで選んでいませんか

失敗しないEAP選定基準と、外部委託を比較する実務ポイント

2028年4月には、ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも広がります。「うちも外部EAPを検討しよう」という声が増えてきました。ただ、比較検討を始めると、多くの人事担当者が同じ壁にぶつかります。どのサービスも「安心」「実績豊富」と書いてあり、何を基準に選べばいいのか分からないのです。

2028年4月
ストレスチェック義務化が50人未満の事業場にも拡大
約1.9%
外部相談窓口の利用率(労働安全衛生調査の二次分析による参考値)
8つ
国際EAP協会が定めるEAPの「コアテクノロジー」の要素数

なぜ、選定基準が要るのか

外部EAP(従業員支援プログラム。会社の外にある専門機関が、従業員のメンタルヘルスや職場の問題を支援する仕組みのことです)を検討し始めると、サービス紹介ページはどこも似た言葉で埋まっています。「相談実績多数」「大手企業導入」「満足度◯%」。比較の軸がないまま資料を集めると、最後は「なんとなく大手だから」「知っている名前だから」という決め方になりがちです。

ここで一つ、知っておいてほしい事情があります。日本ではEAPの「整備率」や「利用率」について、厚生労働省が毎年決まった定義で公表しているわけではありません。業界内では「整備率は約35.8%、利用率は約1.9%」という数字が労働安全衛生調査をもとにした二次分析として参照されていますが、算出方法や対象の定義が公開されていない部分があり、あくまで参考値です。つまり「サービスの質」を測る全国共通のものさしは、まだ整っていないということです。だからこそ、比較する側が自分で基準を持つ必要があります。

料金や知名度だけで選ぶと、あとで起きること

料金の安さや会社の知名度は、比較のきっかけとしては悪くありません。ただ、それだけで契約を決めてしまうと、実際に使う場面でつまずくことがあります。たとえば、相談員が心理系の資格を持っているのか分からないまま契約し、いざ高ストレス者が出たときに専門的な対応が期待と違った、というケースです。あるいは、対面相談しか想定していなかったのに、実際は電話とチャットしか使えず、地方拠点の従業員が結局使わなかった、ということも起こり得ます。

もう一つ見落とされがちなのが、「従業員の相談を受けるだけ」で終わるサービスと、「管理職への助言」や「組織への提言」まで含むサービスの違いです。産業医面談や集団分析の記事でも触れていますが、個人への対応だけでは、職場側の問題は変わりません。契約前に「うちの会社が本当に必要としているのは、個人支援だけか、それとも組織への働きかけまでか」を整理しておくことが、遠回りに見えて一番の近道です。なお、これは特定のサービスの優劣を語るものではなく、どの提供会社にも当てはまる「選ぶ側の視点」の話です。

比較すべき実務ポイント

契約前に、この6項目は必ず確認してください

🎓

相談員の保有資格

公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士・保健師など、国家資格や公的資格を持つ相談員が対応しているか。国際EAP協会(EAPA)が認定する「CEAP」というEAP専門資格の有無も、一つの目安になります。

📞

対応可能な相談形態

対面・電話・メール・オンライン(ビデオ通話)のうち、どこまで対応しているか。拠点が分散している会社や、在宅勤務が多い会社では、オンライン対応の有無が実際の利用率を左右します。

🧑‍💼

管理職向け相談・コンサルテーション

「部下への接し方が分からない」という管理職からの相談に対応できるか。国際EAP協会の定める核となる機能(コアテクノロジー)の一つに「管理職への支援」が含まれており、これができるかどうかは質を見る重要な視点です。

📊

レポーティング・集団分析の提供

相談内容を個人が特定されない形で集計し、部署単位の傾向として人事に共有する仕組みがあるか。ストレスチェックの集団分析と組み合わせて使えると、職場改善の材料が格段に増えます。

🚨

緊急時の対応体制

希死念慮など、命に関わる相談が入ったときの対応フローが決まっているか。夜間・休日の受付有無、産業医や医療機関への連携ルートも、契約前に必ず確認しておきたい項目です。

📄

契約形態・最低契約人数

従業員数に応じた課金か定額制か、最低契約人数や契約期間の縛りはあるか。50人未満の事業場では、大企業向けの料金体系がそのまま当てはまらないこともあるため、自社規模に合った契約形態かを確認します。

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お問い合わせ・ご相談

監修:宮碕 景悟(公認心理師・臨床心理士)/プロフィール

出典:厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」/(一社)国際EAP協会日本支部「EAPの定義」「CEAP養成講座」

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