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社内の相談窓口が使われないのはなぜか|外部相談窓口(EAP)を人事から切り離すと何が変わるか
相談窓口は設置した。案内も出した。それでも相談は来ない。窓口が使われない理由は周知不足ではなく、誰が受け取るかという一点にあります。外部窓口に切り替えると実際に何が変わるのかを、受託している側から整理します。
「相談件数ゼロ」は、問題がないという意味ではない
社内相談窓口の年間利用件数が一桁、あるいはゼロという事業場は珍しくありません。同じ会社でストレスチェックを実施すれば、受検者のおよそ10%が高ストレス者と判定されます。従業員300名なら30名前後です。この30名が誰ひとり相談していないという状態を、健全だと読むことはできません。
相談しなかった人に理由を聞くと、返ってくる答えはほぼ共通しています。「人事に知られたくなかった」です。窓口の存在を知らなかったという回答は、実はそれほど多くありません。
社内窓口が構造的に抱える3つの弱さ
受け取る人が評価に関わる
人事は配置・昇進・査定を扱う部署です。同じ相手に「今つらい」と伝えることは、従業員にとって自分の評価情報を自分から渡す行為に見えます。守秘義務を説明しても、この構造そのものは変わりません。
相談したことが可視化される
社内の会議室に入るところを同僚に見られる、面談のために席を外す理由を説明する必要がある。相談の内容以前に、相談した事実が漏れることを避けたい人が一定数います。
担当者が二役を担わされる
従業員の話を聴く役と、労務管理の判断をする役を同じ人が兼ねると、聴く側も本音では踏み込めません。担当者が疲弊する最大の要因もここにあります。
外部窓口にすると、実際に何が変わるか
相談したこと自体が会社に伝わらない
誰が利用したかを会社に報告しない設計にできます。会社に共有するのは、人数や相談内容の傾向といった個人が特定されない情報だけです。この一点で相談のハードルは大きく下がります。
予防の段階で相談が来る
社内窓口に来る相談は、休職の直前など事態が動かせなくなってからのものに偏ります。外部窓口では「まだ何とかなっているが最近きつい」という段階の相談が入ります。対応の選択肢が多く残っている時期です。
人事が判断業務に集中できる
聴く役割を外に出すことで、人事は復職判定や業務調整といった、社内でしかできない判断に時間を使えます。1名で抱えている場合ほど効果が大きくなります。
ハラスメント相談の受け皿にもなる
加害者とされる人物が社内の相談ルート上にいる場合、社内窓口は機能しません。外部窓口はこの構造から独立しています。
専門職が初回から対応する
臨床心理士・公認心理師が最初から聴くことで、医療につなぐべきケースの見極めが早くなります。人事が判断に迷って対応が遅れる期間を短縮できます。
高ストレス者フォローの受け皿になる
ストレスチェックで高ストレスと判定された方への一次面談を外部で引き受ければ、申出のハードルが下がります。面接指導の申出が増えない理由もあわせてご覧ください。
導入時に決めておくべき4つのこと
ここを曖昧にしたまま始めると、外部化しても使われない窓口になります
1. 会社に何を報告するか
利用人数と傾向のみか、緊急時の例外を設けるか。「自傷他害のおそれがある場合に限り本人に伝えたうえで会社に連絡する」など、例外の条件を先に文章にして従業員へ開示します。曖昧なままだと、従業員は最悪のケースを想定します。
2. 予約の経路
人事にメールを送らないと予約できない設計では、外部化した意味がありません。カウンセラーへ直接つながる予約フォームまたは連絡先を用意します。
3. 就業時間内に使えるか
業務時間中の利用を認めるかどうかで利用率は大きく変わります。認める場合は上長への申請が不要な形にしないと、結局は知られることになります。
4. 家族の利用を含めるか
従業員本人だけでなく同居家族まで対象にするEAPもあります。介護や子どもの不登校など、業務外の負荷が仕事に影響しているケースは実際に多くあります。
まず何から始めるか
いきなり全社での契約を決める必要はありません。対応に困っている従業員が1名いる、という状態からのご相談で構いません。単発で面談と人事との打ち合わせをお引き受けし、外部が入ると何が変わるかを実際に見ていただいたうえで、継続の要否をご判断いただけます。
現在の体制をうかがう項目は導入までの流れ(打ち合わせでうかがうこと)で公開しています。費用の目安は料金プランをご覧ください。
監修:宮碕 景悟(公認心理師・臨床心理士)/ プロフィール
